クンタの軽井沢日記


これは一部事実にもとづいた
フィクションです

(2007年9月)


台風だろうが、停電だろうが「ぼくのご飯まだ〜?」

  台風9号の襲来(その2)

6日の朝になっても雨は降り続いています。天窓を叩く大粒の雨の音がどんどん大きくなります。
「ヤッ、ヤバイ」トイレからクンパパが飛び出してきました。
「ゴボッゴボッいってる」「浄化槽に雨水が逆流してるんだな!」
6年前の大雨の時にもクンタ家の合併浄化槽が吹き上がったことがありました。
その経験からクンパパは浄化槽の周りに溝を掘って雨水が流れるようにし、ホースを二本使って
ドレーンの排水口から排水を始めました。「これで何とか浄化槽は大丈夫だよ」
「さすがはクンパパ、エライ、エライ」クンママがおだてます。

「この雨じゃあ、クンタのお散歩は大変だな」と言いつつクンパパはぼくをオシッコに外に出して
くれました。でも「ヒヤー、スゴイ雨!」オシッコだけでびしょ濡れになり、ウンPする気も起きず
お家に逃げ戻ったぼくでした。

「河川の決壊、道路の土砂崩れに注意してください。
佐久地方の総雨量は300ミリを越えるかもしれません」テレビでも言ってるよ。
「早くご飯食べて寝ましょうね」クンママは夕食の支度をしています。
「ご近所のT先生からいただいたこのお煎餅美味しいな」
あっそれってT先生が「クンちゃんに」ってくれたぼくのお煎餅だよ。
クンパパは知らん顔してぼくのお煎餅をつまみに日本酒を飲んでいます。

チカチカッ、電球が瞬きました。そして急に真っ暗で静かに。停電です。
廊下の保安灯が点きました。
「ありゃりゃ、停電だ。でもすぐ点くよ」
クンパパは嬉しそうに、奥の食料庫から何か引っ張り出してきました。
そこには沢山のランプにライト類が。
ぼくが東京でマンション犬だったときクンパパ&クンママは時々キャンプに連れてってくれました。
そのとき使ったガスランタン×3個、非常用ライト×2個、ぼくと夜のお散歩用の各種懐中電灯が
数知れず。
予備電池に予備ガスボンベもいっぱいあるよ。
台所で夕食を作っていたクンママは「あらっ、お湯が出なくなったわ」
「お風呂も沸かないのかしら、ガ〜ン!」お湯は灯油ボイラーだけどIC制御で電源必要なのだ。
さすがのクンママも魔法でお湯は沸かせないらしい。
「ランプの下で夕食なんてキャンプみたい」とこれから地獄の4日間が始まるとも知らず、
悠長なことを言っていたクンパパ&クンママだったのです。

 
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