クンタの軽井沢日記


これは一部事実にもとづいた
フィクションです

(2006年6月)


このウサギさんは事件とは関係ありません

ウサギさん救出作戦

いつもより遅いお散歩さ。
クンパパが寝坊したからだ。
「だって1時から3時までウィンブルドン観て、4時からサッカーワールドカップ観るから
起きられないんだ」
だったらサッカー終わってそのままお散歩につれてってくれりゃいいんだよ。
みさきちゃんちを過ぎて新幹線の下をくぐっていつもの散歩道に出た。
ずーと歩くと湯川のふるさと公園さ。
「あっネコちゃんだ」クンパパが目ざとく見つけたよ。
道の真ん中で日向ぼっこでもしてるんだな。
「クンタおどかしちゃだめだよ」
「でもフンフン、匂いかいじゃうんだな」
ピョン!ピョン!
あれっ、ネコちゃんが跳んだよ。
「ウサギだ!!」
いくらなんでも道の真ん中に野ウサギがいるわけない。
「飼いウサギが逃げたんだ」「捕まえてあげなくちゃ」
でもクンパパはネコやウサギやネズミみたいに小さくてフニャフニャしているのって
苦手なんだな。
「クンタ、引っ張るなっ」とか何とか言っちゃってへっぴり腰なんだ。
何度かつかみ損ねていたら「車が来た!」
車の人も何事かってゆっくり走ってくれて、そのうち停まっちゃった。
そしたらウサギさんはなんと停車した車の下に逃げ込んだ。
ウサギさんは車の真下にいるので五十肩のクンパパには手が届かない。
「少し車動かしてくださーい」「あっあっ、ウサギ踏んじゃうー」大騒ぎさ。
運転している人も困っただろうな。
そしたら、いつもお散歩のときに声をかけてくれる通称「自転車おじちゃん」が通りかかった。
おじちゃんといってもクンパパより20歳ぐらい上かな。
クンパパ「ウサギが車の下に逃げ込んじゃったんです」
自転車おじちゃん、車の下をのぞき込んで「こりゃうちのウサギだーな」だって。
またソロソロと車を動かしてもらってウサギさんが後ろから出てきたところを「確保!!」
クンパパが両手で捕まえたよ。
「いてててっ」「ウサギさん引掻かないで」クンパパ苦戦。
「ありがーとネ」って自転車おじちゃんはウサギさんを抱っこしてお家に帰りました。
「よかったね、自転車おじちゃんちのウサギさんで」
「クッソー、せっかく助けたのに、恩を仇で返して」
クンパパの右の腕には三本の引掻き傷。
おっかなびっくりで押さえたからウサギさんが反撃したんだな。
何日か過ぎて自転車おじちゃんに会ったら「ウサギ死んじまったよー」だって。
ウサギさんは翌日、突然死んでしまったんだ。
「一日中小屋の中だったから最期に自由に跳び回りたかったのかな」


 
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