クンタの軽井沢日記 これは一部事実にもとづいた フィクションです (その9) |
カミナリさん嫌い!
今日は朝から蒸し暑い。古いおうちにはクーラーなんかないものね。
クンパパはめずらしく「今日はお仕事ー」と出かけてしまったよ。
クンママは「こんなに暑いと朝からビール飲みたくなるわね」と
冷蔵庫の前を行ったり来たりしてる。
ぼくは涼しいお玄関の土間で朝寝だよ。
昼過ぎてお空の様子が変だ。
黒い雲が一杯になって夕方みたいに暗くなったきちゃった。
・・・嫌な予感!
遠く浅間山のほうでコロコロと音がしてる。
なっなんだ!カミナリさまみたい。
とたんにぼくの足が震えだし、息が荒くなってきちゃった。
「ゴロゴローッ」ピカッ「ゴロッビッシャーン」
もうダメ。怖くて怖くて、思わず二階への急な階段を登っちゃった。
二階には小さなお部屋が二つあるけどどっちにも窓があって稲光が
もろ見える。
「え〜ん怖いよー」だけど降りられないよー。
階段が急すぎてぼくには降りられないのです。
「クン〜」「クンタ〜」とクンママの呼ぶ声が聞こえるけど、お返事どころ
じゃないよ。
「やっだーこの仔ったら、二階に上がっちゃったのね」
「降りといで〜」「降りてらっしゃいっ!」「コラ!降りろちゅうーの!!」
クンママは怒ってるけどぼくにはどうしようもないのです。
ついにクンママもあきらめて、「お水ここに置いとくからね」と去って
いってしまった。
夕方になってクンパパが帰ってきた。
「おっクンタ、これまた凄い所にいるねー」
「チャウチャウみたいな顔で階段の上から見下ろすなよ」
ぼくチャウチャウちゃう。
「しょうがねーなー。今晩、腰が痛くなるぞ」と言いながらクンパパは
ぼくのことを赤ちゃん抱っこで下に下ろしてくれた、と思った瞬間、
階段を二段踏みはずして腰を強打。
でもぼくのことを離しませんでした。
ありがとクンパパ。
でもカミナリさん嫌い。
−その10へつづく−