クンタの軽井沢日記 これは一部事実にもとづいた フィクションです (その5) |
ふきのとう五人兄弟
昨夜までの雨がうそのよう、お日様がきらきら輝いている。
でもクンパパとクンママはまだ起きてこない。
クンママは風邪をひいて、頭が痛いんだって。
おーい、お散歩だ!お散歩だ!ホレホレ!
クンパパたちの頭の上でキツネ跳びで踊ってやった。
「わっわっ、バカッ!やめれっ!」「アッタマ踏み潰されるかと思った」
クンパパが頭を抱えながら起きてきた。
クンママは両手で頭をしっかりガードしながら、スースー寝てる。
「今日は庭に水仙を疎開させる」クンパパが宣言した。
ぼくのおうちになる場所には水仙がたくさん生えているのさ。
前に住んでいた人が大事に育てていたらしい。
でも、おうちの工事が始まると戦車みたいな機械でみんな踏み潰されて
しまうから今のうちにこっちの庭に移してやるんだってさ。
クンパパもけっこう優しいところがあるよね。
クンママは「ビールのつまみに蕗のとうを移植するわ」と意気込んでいる。
クンパパとぼくとで摘んできた蕗のとうの天ぷらに味をしめたらしい。
スコップと箱を持って、隣のうちのお庭を横切って、さあ作業開始!
ぼくは嬉しくて跳びまわって、木に繋がれてしまった・・・。
水仙みんな踏み倒しちゃうから。
水仙のまわりから注意深くスコップを入れて、水仙の球根を土ごと掘りだして
箱に入れる。
運動不足のクンパパは三株目ぐらいから汗をかいて、シャツを脱いじゃうんだよ。
何回ぐらい往復したかな、借家の庭に掘った穴に3分の1ぐらい水仙が疎開したころ、
クンママも「蕗のとうは根がつながっていてすごーい!」「キャーッ、ミミズ君!」
と騒ぎながら小さなシャベルで掘っている。
カゴの中を見たら蕗のとうが五株はいってた。
お庭の隅に植えたら五人兄弟みたいでかわいかった。
「蕗のとうが増えたら摘んで、クンパパに天ぷらにしてもらって、それをつまみに
ビール飲んだら美味しいだろうなー」ってクンママが言っている。
−その6へつづく−