クンタの軽井沢日記

これは一部事実にもとづいた
フィクションです


(その21)

石だす!
     最後は石

「ピンポーン」
朝早くからなんだ、なんだ!
「石持ってきたんだけど社長さん見てくれませんか?」
どーして社長さんなのかな?
ぼくは吠えながら、クンパパは眠い目をこすりながら、門のところへ。
門の前には4トントラックが停まっています。
トラックの荷台には大きな石が乗っかっています。
「群馬から緑石積んできたんだけど、お客さんのところに行く前に、
社長さんの庭があんまり立派だから、石、置いてもらえないかと思ってね」
「なーにお客さんのところはまた持ってくるからいいんだよ」
いかにもやり手そ−な作業服着たおじさんと背の高い、大人しそーなおじさんが
そう言って立ってました。
あやしいからって吠えてたら、「クンタ静かに!」って怒られてぼくは吠えるのやめました。

「こんな立派な庭にはこの緑石がぴったり合うね」
「どーですか、これ全部で30万円でいいんだけど」だって。
クンパパはと見るとなんかすごく欲しそうな顔してる。
やばいやばい。クンママ呼んでこよーっと。
「寝起きで素顔だから出て行くのはイヤよ」
「クンパパに10万円だったら買ってもいい、って言わせなさい」
クンママの商売上手!
「クンママが10万円だったらヘソクリあるから買っていいってさ」って
ぼくが言いに行こうと思っているうちに、あれれっ。
「じゃあ15万でいいっすよ」「社長さんなかなかきついね」とか言われて
クンパパは話を決めてしまった。
あーあ知らないよクンママに怒られるよ。
おじさんたちはトラックについてるクレーンで石を下ろしはじめた。
手際のいいこと。かくして7つの大きな緑石はお庭にすえられました。
「うーん、やっぱりいーな、石は」ってクンパパはご満悦。

クンパパ知ってる?
人って最初は生き物(子供も含めて犬とかネコとかペットも)に興味を持つんだよ。
次に少し歳をとると花とか木とか植物が好きになるんだ。
それからおじいさんになると石が好きになる。
それで最後は石の下(お墓)に入るんだってさ。
クンパパももう危ないかもしれない。

  (石が好きなのはひいおじいちゃん譲りだそーよ。
       クンパパの実家のお庭には何十トンていう石が置いてあったんだから
                    私の興味の対象はまだクンちゃんだからねっ byクンママ)


  (ウソだもーん、最近は「お花が呼ぶの〜」とか言ってお庭に出たまま全然帰ってこないよ byクンタ)

               

後日談 : 軽井沢の友人に聞いたら石売りは春に群馬あたりから出没するらしい。
      お客のところへ届ける途中とか言って、本当はこれから売り先を探す。
      だから考えとくから夕方に、も一度来てというと、売れ残っていれば
      7〜8万円でも置いてくらしい。
      クンママはいい線いってた。

                    
         
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